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          ドイツの派遣労働者@ 正規雇用と同一条件 
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 ドイツでは、労働組合や企業内の労働者代表組織である事業所評議会が派遺労働
者の労働条件や賃金についても、企業側と交渉、改善を勝ち取っています。まだ、
労組未加入の派遺労働者への働きかけも積極的に行われでいます。
 ドイツの派遣企業の最大手ランドシュタット(本社フランクフルト)。同社は、
全国三万人以上の派遣労衝者を雇用、ほとんどの職種に労働者を派遺しています。
「企業は健康保険や年金も半分払いますし、有給休暇(年休二十四日から三十日)
など労働条件も正規雇用とほとんど変わりません」。ランドシユタットのクラウス
・デプナー事業所評議会議長が述べました。
 もともと派遺労働者は専門性の高い技術を持った労働者が中心でした。しかしド
イツでも、一九九○年代から、景気循環にあわせて自由に人数を調整できる雇用の
柔軟化をねらって派遺労働者が急速に増えてきました。時給四ないし五ユーロ (約五
百六十円から七百円)で、年金、健康保険も満足に保障されない派遺労働者が増え
ました。こうした状況のなか、ドイツ労働組合総同盟(DGB)が注目したのがラ
ンドシユタットです。
 労働協約を結ぴランドシユタットはもともとオランダの会社ですが、西欧全域で
事業を展開。ドイツの子会社は一九六八年に設立されました。同社は、ドイツでの
子会社設立当初から派遺労働者の事業所評議会を認め、派遣労働者は当時のドイツ
従業員労組(DAG)=現在の統一サービス産業労組(べルディ)に加わり労働協
約を結んでいました。
 この協約がDGBが派遣労働者全体を代表しで便用者側と協約を結ぶ「見本」と
なりました。D○Bは、派遣労働者にも「同一労働同一賃金を」と要求し、社会民
主党(SPD)と90年連合・緑の党のシュレーダー連立政権に法改正を要請。シュ
レーダ−政権は二○○三年に「労働委託法」を改正し「同一労働同一賃金」の原則
を法に盛り込みました。同時に、例外規定として「労使が労働協約を結んだ場合は
違う条件も可能」としました。こうしたこともあって、使用者側は二○○四年一月
結ぶようになりました。
 労働者の賃金は、学歴、資格、能力によって九段階に分けられ、最低の単純労働
は一時間七ユーロ (約九百八十円)で、最高は約十六ユーロ (約二千二百四十円)です。
しかし、派遺労働者の賃金は正規雇用と比ベ、平均で60%から70%(一部の専
門知識労働者ではほぼ同額)とされ、まだ開きがあります。デプナー氏は「賃金は
産業によって違います。自動車産業では金属産業労組(IGメタルが同じ企業で働
く労働者の賃金や労働条件の基準を統一せよと要求して、派遺労働者も他の産業よ
りも高い賃金をもらっています」といいます。
 (b>契約終わっても
 労働時闇は週三十五時間が基本。しかし、派遺先の産業・企業により週四十時間
もあります。残業は週15%まで「労働時間口座」にためられ、このたまった労働時
間を使って有給をとることもできます。また15%を超える残業については、賃金
のほかに残業手当が支払われます。ランドシユタットではヽ事業所評議会との合意
で派遺労働者の派遺先企業との契約が終わった後も次の契約が始まるまでの期間、
賃金を支払っています。
 デプナー氏は「派遺労働者も普通の企業の労働者と同じように生活が守られるべ
きです。解雇規制ももちろん、正規労働者と同じ原則で適用されます。企業は労働
者の解雇についで事業所評議会に意見を聞なくてはなりません」と語りました。


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