大企業 税逃れ深刻
			英団体発表 貧困国、より収入難に
							
【ロンドン]西尾正哉】英国の援助団体「クリスチャン・エイド」はこのほど公表した
報告書で、アフリカなどの貧困国は、多国籍企業によるタックスへイプン(租税回避地)
の利用や関税撤廃押しつけなどで税収が減少し、貧因から抜け出せない大きな要因とな
っていると強調しました。
 報告は十二日に公表されたもので、外資呼びこみのための税率の引き下げや貿易自由
化、タックスヘイブンのため「発展途上国では、貧しい国民の税負担が上昇している」
と指摘しています。報告はさらに、「富裕層から貧困層への税負担の移行は途上国だけ
でない」と述べ英国でも法人税や所得税の税収に占める割合が15・8%(1975年)から
12・9%へと減少する一方で、間接税が19・5%から22・4%へと上昇していると
指摘。「企業の利益や裕福な個人、貿易ヘの課税が減少する一方でVAT(付加価値税、
日本の消費税にあたる)が増加した。そのため税負担はより貪困な層へと移っている」
と述べています。
 また、発展途上国では外資を呼びこむために法人税率の引き下げ競争に迫いこまれて
おり、「これらの国では公共サービスが締め付けられ経済成長が著しく阻害されている
」と指摘しました。
 さらに、多国籍企業や裕福な個人が税逃れのために利用するタックスヘイプンで国に
よる課税が困難になっていると指摘。「少なく見積もっても十一兆五千億米ドル(約千
二百六十五兆円)がタックスへイプンに流れている」「30%の税率でこれらに課税す
れば毎年二千五百五十億ドルの税収を計上できる。これは、世界の援助予算の三倍以上
にあたる」と指摘しました。
 報告は、こうした問題を引き起こした責任は「自由化を進めるなかで貧困国の間で企
業課税税率削減の競争を奨励し」、「貿易自由化をすすめ、その結果、法人課税を減少
させ付加価値税を増加させてきた世界銀行やIMF(国際通貨基金にある」と指摘する
とともに「主要な違反者は多国籍企業だ」と強調しました。
 報告は、問題解決のためには、課税における公正さを確立することが必要だが「貧困
国だけではできない」と述ベ、政府間や国際機関による取り組みが必要だと強調しまし
た。

                               赤旗 05.9.19

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