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    子どもたちの いま M 第6部 思春期のこころ
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 舜くん(仮名)は中学一年生です。家の引っ越しで、千葉県から
埼玉県に移っての中学入学。知っている同級生が、一人もいない
中学生活のスタートでした。「でも、すぐ友だちができたし、だ
いじょうぶです。中学校はおもしろいですよ」晴れやかな表情で
す。
 サッカーが大好きな舜くんは、入学するとサッカー部に入りま
した。毎日、朝六時ころ起きて朝練に参加し、六時限が終わって
から部活。帰宅するのは六時半ころという、張り切りようです。
 舜くんは、中学へ入学するときに、一大決心をしました。予習
・復習を毎日、二時間すること。ただし、疲れるため、金曜日は
「休みの日」にし、夜の九時には寝ることです。「中学になると、
英語などの新しい教科が増えるし、勉強の内容も難しくなります。
ぽくは塾がきらいなので通っていません。だから、自分で努力し
なきやいけないと思ったんです」
 入学してからこれまで、一日もサボったことはありません。
「休みの日」は、九時までに寝ることもしっかり実行しています。
自宅での勉強は、英語や数学の復習が中心です。舜くんは、少し
恥ずかしそうに英語と数学の練習用ノートを見せてくれました。
英語のノートには、その日学校で習った単語や熟語、短い英文が
びっしり。覚えるため、何回も繰り返し書き、それが数ページに
ものぽっています。数学のノートも、その日習った方程式の計算
問題でした。
 鉛筆で書いたアルファベットや数字を、消しゴムで何回か消し
たあとがあるノートから、舜くんの一生懸命さが伝わってきます。
 「眠くなって、今日はやめようかなって思うときもあったけど。
やっぱり、自分で決めたことだから・・」
 舜くんは、そういってはにかみました。クラスの多くは塾へ通
っていますが、舜くんは塾へいくつもりはありません。小学校時
代に通った塾で、いやな体験をしたからです。「けっこう難しく
で、ついてくのがやっと。それに、家に帰ってくるのが夜の九時、
十時くらいになるので、クタクタです。ぽくは、ああいうことは
もうしたくない。今はいこうとは思いません」
 舜君の一学期の成績は、そんなに良いほうではありませ。五段
階評価で「4が少し、3が多い」くらい。でも、勉強がきらいな
わけではありません。「好きなのは社会の歴史。ときどき、数学
好きだと思うときがあります。体育もすきです。きらいなのは国
語、音楽。難しくてわからなくなるときらいになります」
 これから、英語は難しくなりそう。地理は、授業についていく
のが大変です。学校の勉強をしっかりやっていけるかどうか、舜
くんは不安になることがあります。        (つづく)

                        赤旗 11/1

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