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    子どもたちの いま N 第6部 思春期のこころ
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 塾へはいかず、毎日二時間、自宅で復習・予習の学習を続ける
中学一年生の舜くん。最近、学校の勉強についていけるかどうか、
不安になることがあります。
 授業の進むススピードがはやいのです。とくに、すすみ方が遅
れている学期末など「教科書の○○ページまで終わらせなきやい
けない」「細かいことは、家でやってきなさい」とはっきり言う
先生もいます。
 生徒から「先生、すすむのがはやいよ」「もっとゆっくりやっ
て」という声があがり、授業が終わってから聞きにいく人も多い
そう。先生のところへ積極的に聞きにいく、というタイプではな
い舜くんは、ストレスがたまるのです。
 「ぽくは、なぜそうなるのか、もっとくわしく知りたい。それ
なのに、先生は、やり方を教えでくれないんです。ついていけな
い授業が続く『つらいな−』と思うときがあります。中学に入っ
て一番困ったのはテストです。難しいです。ちやんとおしえで−、
先生−、といいたいくらい」
 舜くんには夢があります。まだ漠然としていますが、将来、中
国かインドヘ留学したい、という夢です。
 「中国やインドのくらし方が、ゆったりしていて、すごくいい
なと思いました。高校を卒業したら、日本の大学へはいかないで
中国かインドで働きながら勉強するつもりです。そして、語学を
しっかり習いたいと思っています」この夢にも、舜くんのこれか
らへの「不安」が反映しているように感じられます。母親の敬子
さん(39)も、舜くんの「不安」を感じ取っていました。
 「今は、自分の力でがんばっでみよう、という気持ちなんだと
思います。でも、どこまでがんばれるか、不女なんでしょうね。
競争するのではなく、おもしろく楽しく、ゆっくりと勉強したい。
そういうことが、ほんとうの願いなんだろうと思います。日本を
離れたい、中国やインドヘいきたい、というのも、不安のあらわ
れかもしれません」
 敬子さんは、今の舜くんの気持ちを大切にするつもりでいます。
授業についでいけなくなって、舜くんが塾へいきたいといえぱ、
いかせようとも考えています。敬子さんのやさしいまなざしをう
けながら、しっかり答える舜くんですが」敬子さんがいないとこ
ろで、こういいました。
 「ぽくはときどき、親や先生のいない生活をしでみたいと思う
ときがあります。親は、一つひとつにうるさいから。子どもが考
えでいることは、おとなにはわからないことがあると思うけれど、
子どもの身になってちやんと考えてほしいです」
                        赤旗 11/2

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