――――――――――――――――――――――――――――― 子どもたちの いま O 第6部 思春期のこころ ―――――――――――――――――――――――――――――勉強がいやになったり、自信や喜びにつなが らない子どもたち。なぜそうなっているのか。 公立小学校教師、山崎隆夫さんに聞きました。 連載に出てきた祐司君や、舜君にとっての勉 強は、育つ喜びを感じる本来の学習とは敵対し ているように思いました。祐司君のお母さんの ように受験によって子どもの可能性を広げよう と頑張る一概に否定することはできません。が 受験によってある地位を手に入れれば、幸せが 訪れると思っているように思えます。中学に入 って、再び自分を取り戻すことができるかもし れませんが、勉強に心も体も不適応をおこさないか心配です。 舜君は勉強についていこうとけなげに頑張っているけれど、暗 記したり、テストの点をあげるだけでない、生きる喜びにつなが る学びを知っでほしい、まだ、自らが努力することによっで未来 をおしあげる力になるだろうことを認めて、励ましたいと思いま した。 勉強することは、自分を解放しだり、友人の考えをきくなかで、 深い世界を知ったりするなど、幸せなことのはずです。例えば一 年生に数の一を教えるとき。「1を探してごらん」というと、 「えんびつ一本」「ノート1冊」とそばにあるものから、だんだ ん教室全体に広がっていきます。「黒板一つ」という子に「すこ いね。取り外せないものを見つけられた」というと、自信なさそ うに小声で「先生が一人いるっていっていい?」という子がいる。 「いいんだよ」というと安心する。そして、子どもを抱っこして 「○君も世界でたった1人だね」と語りかけます。教室に自由と、 切り捨てられないという安心感があれば、学ぶことに幸せを感じ られます。まだ小数の授業では、1つのタイルを十に分けで「こ れが0.1と学ぶ。その一つをまた十に分けで「これが0.01 だ」と発見する。すると「先生もっともっと切っていい?」とい う。小さく小さく切って、「みえないくらいだけど、小数ってあ るんだね」と心をおどらせ納得する。知らない世界との出合いの ある学習世界へいざなうことが大事です。とりわけ思春期の子ど もは、真実や真理を発見してワクワクドキドキするときです。 今、教室にはいろんな子どもたちがいます。気に入らないこと があると窓枠にとびつい死んでやる」という子。以前荒れた六年 生のクラスを担任したときは、イメージが崩れて思い通りにいか ないと「オレはこんなクラスこない」とキレた子どもがいました。 激しい興奮で手がつけられないような気がしましたが、肩を抱き しめ「そんなこというな。先生悲しくなっちゃうじゃないか」と 必死で語ると、その子の顔がやわらぎました。何かをやろうとす ると「そんなの意味ないじゃん」という子もいます。意味を問う 子どもたちの言い分は真実をついていることもあります。でも、 「自分が負けたり傷つくことはやりたくない」のです。「ぼくが ぼくでありだい」と不安感を持っているのです。 (つづく) 赤旗 11/3