学力テスト「英国・米国」問題点を探る  

                         06.01.09 赤旗 抜粋
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 いま教育関係者や父母の間で全国学力調査(学カテスト)が議論を呼んで
います。政府は2007年度から実施することを決め、06年度予算案に調査費二
十九億円を計上しました。諸外国の例や識者の意見から問題点を探ります。
                             (北村隆志)
 近年、新たに学カテストを行っているのは日本だけではありません。イギ
リス、アメリカ、ドイツなどが導入しています。
 広がる不平等
 なかでもイギリスは早く、サッチャー政権時代の1988年に始まりました。
「イギリス病」とよばれた長期不況のなかで、社会の活力低下の原因として
教育が批判を浴びたことから、学力向上策の一環として導入されました。
 特徴は学カテストによって徹底した学校評価を行っていることです。中学
校卒業までに四回の到達度テストがあり、学校ごとの成績がすべて公表され
ます。成績の悪い学校は全教職員が入れ替えられ、それでも成績が悪いと廃
校になります。
 学校選択制も導入したので、成績の結果は入学者の増減に直結します。イ
ギリスの教育に詳しい勝野正章・東大助教授は「学校が受けるプレッシャー
は強く大きな矛盾が生じています。なかでも問題なのは成績の悪い子の『排
除』がおきていることです」として次のように言います。
 「学習障害児や移民の子の入学を断るのです。表向きは受け入れ条件がな
いからという理由ですが、学カテスト導入前は何の問題もなく受け入れてい
ました。試験体制によって不平等が広がっでいます」
 アメリカでもブッシユ政権のもとで、全児童生徒を対象にした学カテスト
を州ごとに義務づけました。イギリスの教育改革を参考にしており、テスト
結果の悪い学校にはざまざまな制裁があります。現場の教師からの批判は強
く教育学者の間でも評判はさんざんです。
 機械的な暗記
 日本の教育にも詳しい米バージニア大学のレオナード・J‐ショッバ准教
授は「(来週標準テストのある私の娘の)学校では、教員たちが、今月、ほ
とんどすべての授業時間を試験準備のために費やしている」「試験の点数を
上げることに役立ちそうにない実地見学や他の教科活動を中止し、代わって
機械的な暗記と反復練習に集中することを強いられている」
(『日本の教育政策過程』日本語版への序文)と書いでいます。ショッパ氏
は「娘の学校はいわゆる『成功している』学校であるが、近隣の『失敗上し
た学校から多くの生徒たちを受け入れなげれぱならない......
                               略
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