三重県退職教職員の会 総会
 記念講演
      「 憲 法 の 心 で 時 代 を 診 る 」

                名古屋大学名誉教授 森 英樹さん 

                             2012.05.26
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 5月26日(土)アスト津で三重県教職員の会 総会が行われた。記念講
演は、名古屋大学名誉教授 元愛知憲法会議議長の森英樹さん「憲法の心で
時代を診る」、日米安保条約締結60年、沖縄本土復帰40年。日本の憲法
の理念を侵食する年月であった。
 憲法前文「平和のうちに生存する権利」憲法13条「自由及び幸福追求の
権利」憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」がことごと
く政府によって踏みにじられてきたをことが普天間基地返還問題をはじめ東
日本大震災・福島原発爆発事故によって明かになった。
 アメリカは被爆国日本に対して原子力の「平和利用」ということばで、核
に対する国民世論を「受け入れ」に誘導した。1955年日米原子力協定が
読売新聞の正力松太郎をはじめとする財界の圧力によって締結。原子力平和
利用博覧会が日比谷公園で開催され、国民の核に対する意識は大きく変えら
れた。
 ドイツでは1973年の石油危機を契機に原発建設が始まったが、アメリ
カ・スリーマイル島原発事故以降、反核運動が拡大し「緑の党」の躍進など
日本と状況が大きく変わった。森氏は日本では反核平和運動と反原発運動が
二本立てであるのに対してドイツでは、反核平和運動=反原発運動であり、
スローガンは「 Atomkraft Nein Danke!(原子力はいらない)」である。原
発も原爆も「Atomkraft」の一語で表現されることから、核の平和利用とい
う政府の騙しが効かなかったのでは、と語られた。
 1986年チェルノブイリ原発事故を受け緑の党がさらに躍進を遂げ、国
民世論は一挙に反原発に動いた。2009年メルケル保守政権が誕生し原発
稼動期間延長に政策転換を図るが、2011年3月、福島原発の爆発を受け
30万を超える国民が立ち上がり、政府は原発からの撤退を決定した。
 地震災害のないドイツでの脱原発の決定は、極めて教訓的なものだった。
ドイツと同じ技術大国である日本での原発事故は、絶対の安全などないこ
とを世界に明かにした。未来の国民に負の遺産を残すことは許されない」と
して27機の原発の廃止を決定した。
 ドイツに政策転換をもたらしたものは、@原子力=原発+原爆という考え
方、に加えA市民集会・討論・デモ・ネット等などの熟議民主主義の力、さ
らにB命への具体的な危機には身体を張ってでも阻止する市民運動。の3つ
を挙げられた。
 なお、2012年度成立の予算:軍事費4兆7138億円(総額90兆円)
を挙げ「税と社会保障の一体改革」は騙しであることを強調した。7.8%
の国家公務員の給与削減額6000億円は、主力戦闘機F35ステルス42
機体制6300億円に相当するものであること。また航続距離が他の戦闘機
に比べ格段に長く、専守防衛の国是を逸脱するものであること。また相変わ
らずの米軍への「思いやり予算」2000億円についてもマスコミは、ダン
マリを決め込んでいる。この矛盾を国会で糾弾したのは日本共産党、テレビ
ではみのもんたのワイドショーのみ。これでいいのか、と語気を強められた。
 むすびに「教え子を「Lifeを粗末に扱う社会・経済・政治の戦場」にも送
るな!を次世代に残すべき「平和」の哲学としようと、訴え講演は終った。

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