三重大学生物資源学部「食と農」

         「 地 域 資 源 活 用 と 有 機 農 業 」

                          堆肥・育土研究所 橋本力男  

 5月28日(月)13:00〜 190番教室で「食と農」の講義が堆肥・育土研究所の
橋本力男さんを講師に「地域資源の活用と有機農業」と題して1時間20分行われた。
 橋本さんは、農林水産省から「堆肥のづくりの『匠』の称号」を与えられるなど、大変
著名な方である。しかし同じ三重県人でありながらその名前・活動の一端にふれたのは今
回が初めて。不勉強もあるかと思いますが、市民・県民レベルでも同様ではないかと考え
ます。
 講義の内容は農業技術の専門的な話しではなく、私たちに食生活と消費生活にとって極
めて意義深い、健康と社会性に直結するものだった。みなさんは次の写真をどのように感
じられますか。同じ時期に収穫されたビーマンでも、その生命力は大きく異なります。全
く別の物を食していることを改めて認識させられました。

 堆肥による野菜の栽培は、極めて自然に近いもの。それに対して化成肥料と農薬を用い
たものは大きく異なる。@栄養成分の大きな差がある。ビタミン・ミネラルの含有量 A
野菜そのものの生命力 野菜の匂いや味の濃さに現れるものです。栽培の違いは、実験に
よっても明らかです。
 野菜の生命力は、野菜を食するものの健康にも大きく影響します。有機農法は、特別な
ものではありません。山の木木々は化学肥料も農薬も必要とはしません。自らの力で、環
境のなかで成長します。有機農法はその自然の循環にできるだけ近づける農業だと思いま
した。製造コストの問題から「高い」と評価され、多くの消費者は安価な値段を選択する
 橋本さんはそれでいいのか、と訴えられました。有機農業も消費者の支持と応援が課題
だと述べられました。「良いものをそれなりの値段で買う」消費者の意識と教育が課題だ
と思いました。「作ってよし、売ってよし、買ってよし。環境によし..」

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橋本力男(はしもとりきお)プロフィール

 2004年 NHK教育テレビ「たったひとつの地球」全国放映
 2005年 「革新的農業技術習得研修」講師 (独)近畿中国四国農業研究センター
 2006年 有機農業技術会議のメンバーに選任
 2007年 NGO・DEFARよりボリビアに堆肥化技術指導で派遣される
 2008年 財・環境技術移転研究センターよりフィリピンに堆肥化技術指導で派遣される

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              地産地消と循環型社会

1. 講義の問題意識は食と農の乖離:食と農の分断の克服、有機的な関係の回復である。
 @地産地消の意義:フードマイルの縮小、身土不二は消費者にとってたいへん有意義
  生産者にとっては遠くても近くても大切なお客である。
 A本来の食と農の関係:生産と消費、需要と供給、食が農に関与できるのは、消費に
  よって情報を送ること:需要は事後的にのみ確認可能。生ごみ堆肥化活動は、食が
  生産材料を還流させることによって農に関与できる方法である。
 環境を良くすることは農への関与となる。農は環境を材料として生産活動を行う。

2.生ごみ堆肥化活動の意義:は全国で試みられているが、堆肥の活用が進まない
 @実践事例:ヨーロッパでは戦前から進んでいる
       日本では山形県長井市のレインボープランが有名
 Aごみ処理方法としての生ごみ堆肥化の意義
       水を燃やさずにすむ
       生ごみは他の資源ごみとは特性が異なる:生物資源特性
 B農法としての堆肥施用の意義:有機農業の基本 栽培土壌の微生物相を豊かにする 
       微生物のいない土は耕せない
       低水分、低窒素状態が持続することで低蛋白、高糖度をもたらす

3.資源循環活動としての生ごみ堆肥化活動
 @循環型社会形成推進基本法体系
 A循環の本来の意味:安全が前提(食品も同じ)
 B堆肥による循環ループの形成:物質はなぜ循環(他の物質になる)可能か

4.生ごみ堆肥化の方法
 @一般的な方法
  家庭用生ごみ処理機:バイオ式、乾燥式:分解しにくいものをつくる
  業務用生ごみ処理機:強制加熱、同上
  大規模高速堆肥化設備:数億円の設置費用、完熟不全製品
  EM:発酵不全
 A橋本式堆肥化方法:三重県から全国の局地的に普及
  プラスティックの衣装ケースに床材を敷き、生ごみを連続投入しながら一次処理する
  20世帯分くらいを一山にして堆積し二次処理する
 
  橋本式の意義:自然発酵、CN比確保、完熟化:低コスト、誰でも可能
  三重県における生ごみ堆肥化活動のネットワーク:1800世帯
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   「食と農」第四講:地産地消と循環型社会 - 食が農に関わる局面 - より引用
    r−hashi @e−net.or.jp 〒 515-2603 三重県津市白山町川口6583-1 

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