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       四日市に地域通貨始動「Jマネー根付くか」
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 市民活動の支援と地域経済の活性化を目的に、四日市市内のNP
Oなどが運営する地域通貨「Jマネー」の運用が今月、本格的に始
まった。利用できる店舖や当初の発行量は事務局の予想を上回り、
順調な滑り出しという。ただ、「通貨」としての成功へつなげるに
は、一度利用されたJマネーを再び流通させる仕組みをどう作るか
が、大きな課題になっている。
 Jマネーは、地元のNPO関係者らを中心とする「循環者(J)
ファンド運営委員会が運営している。市民団体やNPOにJファン
ドを通して寄付すると、Jマネーが1円につき1J(ジェイ=通貨
単位)もらえる。Jは、同市内を中心とする店舗での買い物やNP
Oのサービスを受ける際などに利用できる。
 この仕組みにより、今までより市民活動へ寄付しやすくなり、参
加店舗を中心に、地元商店の活性化にもつながると、事務局は期待
する。
 地元の三重銀行がファンドに100万円を寄付、受け取ったJマ
ネーを定期預金の特典としたほか 一般の寄付もあり、既に約17
0万Jが発行された。利用できる店舗も市中心部の商店街を中心に
50を超えた。
 Jマネーの利用の仕方は、各店舗が独目に決める。例えば、ある
宝石店では「商品価格、サイズ直し、それぞれの30%までを1J
=1円として使える」。洋品店では「3千円以上のお買い上げの場
合、代金100円分を100Jで支払える」など。Jを渡すと店独
自のポイントカードに加算するスーパーもある。
 だが、利用実績は今のところほとんどない。店に尋ねと「分かり
にくく、客への説明も自信がない」と話す店主もいた。事務局は今
後、広報誌で各店での利用方法を周知するなど、関心を高めたいと
いう。
 地域通貨は全国で00年ごろから注目され、これまでに100以
上の導入例があるが、多くは失敗に終わっている。県内でも伊賀地
域で「bito(びと)」、津市で「mie」などが検討され、一
部で試験的に導入されたものの、定着しなかった。三重銀総研の先
浦宏紀主任研究員は「サービス券や割引券の延長の域を出ず、一度
使ったらそれっきりになりがち」と話す。
 Jマネーが一通貨として流通するためには、一度使われたJをも
う一度利用者側に戻す仕掛けが必要。「店について意見をもらった
お客さんに渡す」(サービス業)、「トレーなどの回収に協力して
くれたお客さんに渡す」(スーパー)という店もある。しかし、多
くは「全然考えていない」のが実情だ。
 事務局は「まず各店に話を聞いて、店にとって有益なサービスを
探る。それができるNPOを紹介したい」。JマネーがNPOに渡
れば、メンバーがまた利用するとの見通しを描く。市民活動とビジ
ネス、両方の活性化という本来の目的につながるとして、最重点課
題に位置付けている。


                        朝日 11/26

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