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      発 言2005 「 九条掲げ、打って出る国に 」
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 最近の憲法論議で、環境権、プライバシー、家族、教育問題などを取り上
げて憲法改正が必要だという議論があります。ほんとうに憲法改正すること
によってもたらされるものでしょうか。環境権が大事だと言うなら、現行の
政策のなかで、徹底的に論ずることが一番でしょう。
 今すべきことは、憲法を変えることではなくこの憲法が果たしてきた役割、
機能はいかなるものであるか、日本がどんな国であったら国民にとって幸せ
なのかということを議論することです。
 守るだけでなく
 憲法九条は守るだけではだめで、戦争放棄、平和主義などの価値をどう育
てるのかが大切です。九条によって積極的にアジアや世界の平和のために打
っで出る国づくりが必要だと思います。日本は、積極的に平和のために世界
の舞台で紛争処理に動く国であるとか、武力によらない話し合いのテープル
はいつも日本が準備する国であるという行動をとることが重要です。世界の
国々はそれを日本に朗待しています。
 「九条の会」に限らず、憲法についていろいろな思いを持っている人だち
がいます。憲法の問題を自分の問題として引き寄せて考えなければいけない。
とくに若い世代にはもっと考えてもらいたい。戦争を経験している世代のみ
なさんにもっと原体験を発信してほしいですね。
 日本にはできる
 未来永劫(えいこう)この憲法がいいとは思いませんよ。いつかは変わる
でしょう。だけどそれは今の時期ではないし、あまりにも議論が足りなさ過
ぎます。地方自治の現場にいる町長という仕事を通して、世界の問題が見え
るんですよ。自治の現場は扇の要なんです。あらゆる問題は私の手の上にあ
るから、全体が俯瞰(ふかん)できるのです。だから住民の目線からの自治
が必要なんです。それで国が成り立っているのです。
 武力で紛争を百パーセント収めたことはありますか。あるように見えるけ
ど、最後は人の心に永遠に解決することのできない深いきずをつくってしま
います。形の上で鎮圧したとしても、その怨念(おんねん)はいつか復活し
てくるんです。多くの人が血を流している上にたまたま平和というものがあ
ったというだけの話なのです。だから武力はだめだと思っています。いまま
での歴史はまずいから新たな可能性を探そう。より一歩でも高まりたいと思
うのが人間じやないでしょうか。
 世界のなかで唯一憲法九条をもつ日本だけが、その役割を担えるんです。
先進的な経済活動をしている日本において、新しい平和の概念をつくりあげ
れば、新しい時代が開けると思います。

―北海道・ニセコ町長 逢坂 誠ニ ―――――――――――――
おおさか・せいじ1959年、北海道ニセコ町生まれ。北海道大学薬学部卒。
ニセコ町財政係長を経て、94年ニセコ町長就任。現在3期目。主な著書に
『町長室日記』(柏櫓舎)『わたしたちのまちの憲法』(日本経済評論社)
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                                  赤旗 05/1/29

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