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      宇宙へ飛び出せ町工場 "大阪の地場産業 "を目指す 
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                    東大阪宇宙開発協同組合理事長 青木豊彦
◇中小企業が人工衛星を作るという考えはどこで生まれたのですか。◆4・
5年前、商工会議所の幹部から「東大阪は景気がむちゃむちゃ悪い。明るう
しようや」と言われた。知人も来て「やりーな」と。現場を見ると社長も職
人も年が同じぐらい。3K(きつい、汚い、危険)と言われ、若者がものづく
りの現場を訪れなくなった。これが一番の問題ちゃうかな。若者が集まり、
つくる街にするのが狙いいや。◇なぜ、人工衛星なのですか。◆東大阪は(
特定分野で強い)オンリーワンの会社が多く、「歯ブラシ」からロケツトま
で」がキヤッチフレーズ。それやったら思い切ってロケットつくろと思った
んやけど、大学の先生に「開発費も時間もちょっとかかるんちゃうか。小さ
い人工衛星やったらつくれるかも」とアドバイスもろた。それがきっかけ。
◇高い技術力が必要ですね。◆いざやってみると人工衛星はレベルが高い。
我々は匠で来てますやん。これは大事やと思うけど、「概略設計」なども勉
強していかんと。政府や宇宙関係機関、大学が皆応援してくれ、05年度中
につくれるやろうというところまできた。
 小型の衛星で一番面白いのはね、旬の技術を採用できること。大型衛星や
ったら完成まで5年、8年かかる。完成するころに古うなってるんです。うち
は軽自動車でええねんから、早くて半年、1年での開発を目指す。それに僕
ら数を上げたいね。10億円の衛星も、5000万円の衛星も。◇衛星を何
に利用するかが大きな課題では。◆「まいど1号」は教育目的で、地球の映
像を子供たちが携帯電話で見られるようにしたい。これは一銭にもなりませ
ん。7億円の助成で1号、2号が製造できる。2号は3号を打ち上げる技術を
習得するための衛星。3号でビジネスをしたい。それは雷の予知。宇宙から
やってるとこ、どこもない。雷がドーンときますやろ。工場のラインが不良
品になる。宇宙から5分、10分前に予知して機械を事前に止めれば全然ち
ゃいます。他にも新材料開発の実験や地形変化の撮影など宇宙は今、ビジネ
スのフロンティア。日本の中小企業が人工衛星をつくったとなれば世界から
オファーが来るんとちゃうやろか。◇大阪の街をどうしていきたいですか。
◆次は飛行機をやり、航空宇宙を地場産業にしたい。僕はそう思うてる。大
阪を世界の「楽市楽座」にして海外から英知を集め、神社仏閣と同じように
東大阪の面白い会社を見て、わろうて「ものづくり観光」をしてもらう。来
まっせ、これから。大阪の華をつくらんとあかん。華は中小企業や。僕、絶
対そう思うわ。
                            05.1.3 毎日

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